
毎日
洗濯する度に、型崩れしてヨレヨレになっていく、お気に入りの
ブラジャー。
結構高かったのになぁ…とため息をつく世の女性たちのために、兵庫県姫路市白浜町甲のプラスチック加工メーカー、岡崎産業が「ブラジャー
ハンガー」と名付けた商品を開発した。
胸の形をしたカップホルダーに洗濯したブラジャーをかぶせ、ハンガーに
セットして干す。ブラジャーを立体のまま乾かせるアイデア商品だ。
「これまで洗濯ネットなどはあったようなんですが、“干す”ことに着目した商品は珍しいようなんです」
開発者の同社社長、岡崎善樹さん(58)は顔をほころばせた。昨年から東急ハンズが販売して話題になり、大手通信販売会社が扱いを始めるなど、次々と商談が舞い込んでいる。
もともと、灯油を
ストーブに移し替える灯油ポンプの専門メーカー。一時は15%のシェアを誇ったが、安価な中国製品に押されて10年ほど前に生産を中止した。
下請け生産を細々と続けながらも、岡崎さんは「もう一度自社製品を世に出したい」と思っていた。ブラジャーハンガーは、起死回生を願う“勝負球”だ。
開発のヒントは、ワコール創業者で故・塚本幸一氏の「いつの時代でも、女性が美しくなる商品は絶対に売れる」という言葉だった。
「うちはプラスチック加工業者ですから、化粧品や
下着、
洋服を作るノウハウも材料もありません。でも、何かできないかなあと、ずっと考えていたんです」
そんなとき、妻の一代さんが庭先で洗濯物を干す姿に、ふと目がとまった。洗濯挟みで端を止めてぶら下がっているブラジャー。
「それがヨレヨレで…。あっ、これやって思いました」
“立体的なブラジャー干し”のアイデアを親戚(しんせき)や知人の女性に話すと感触はなかなかいい。さっそく研究に取りかかった。
「それからが大変です。下着売り場でブラジャー見るのが恥ずかしくて恥ずかしくて」
近くのショッピングセンターの下着売り場に出かけたが、人目が気になってなかなかブラジャーを手に取れない。“偵察”に何度も通った後、やっとの思いで店員に事情を説明。最も平均的なブラジャーを3タイプ選んでもらい買って帰った。
トップの位置、
ストラップの位置、バストラインを作る曲線の角度、メーカーの違いなど、徹底的に研究。疑問点が浮かぶ度、店に走ってブラジャーを手に取った。
「美しいバストラインっていうのが分かってきました。胸が大きい方も小さい方も上品なバストってあるんです。バストは女性の美の象徴です」
灯油ポンプの生産中止で静まっていた同社の工場はブラジャーハンガーのヒットで活気が戻っている。「プラスチック加工は原料を溶かして固める点ではどんな商品でも同じ。要は、アイデアなんです」と岡崎さんは自信をみせる。現在5人の従業員も増員予定だ。
かつて「岡崎の灯油ポンプは長持ちする。何年たっても割れない」と言われることが誇りだった。どんな商品であっても、岡崎さんがこだわるのは「質の高さ」だ。
使い捨ては作りたくない。ブラジャーハンガーでも、劣化防止や使いやすさに工夫をこらす。
「いつか世界の女性が、『へぇ、これいいじゃん』って愛用してくれたら最高ですよね」
いま、旅行用携帯ケースや柔らかい材質の洗濯用ケースなど、関連商品も開発中だという。
【会社概要】岡崎産業
兵庫県姫路市白浜町甲781の1(TEL079・245・0071)。昭和52年創業。ブラジャーハンガーはハンガーとカップがセットで735円。東急ハンズの三宮店、心斎橋店などで販売。同社
ホームページ(http://www.okazaki−sg.com/)でも購入できる。